Club Noohl
プライベート・プレス──書物と紙片にまつわるエトセトラ
DATE: --/--/--(--)   CATEGORY: スポンサー広告
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
page top
DATE: 2012/03/01(木)   CATEGORY: 随想録
マタイ受難曲
 東京オペラシティにて、聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団によるバッハ《マタイ受難曲》全曲を聴いてまいりました。休憩含め約3時間。

 《マタイ受難曲》はこの世で最も愛する曲です。レコードやCDで古い録音から現代のものまで幾つか聴いて参りましたが、思い入れが強い分、自分にとって「完璧な演奏」には出会えずにおりました。

 録音ではフィリップ・ヘレヴェッヘ氏指揮(ボストリッジさんが福音史家、アルトのパートがカウンターテナーのアンドレアス・ショル氏)のものが一番好みですが、テンポが速いのと、青年イエスが脂ぎったバスで歌われることがどうしても肌に合わず、いまだ出会えぬ奇跡を夢見る日々でございました。


 今回の《マタイ受難曲》、私にとって「完璧な演奏」でした。

 古い録音のようにゆったりと始まった演奏、澄んだ合唱は少年と青年による男声のみ、アルトのパートは20歳の内気なカウンターテナー、そしてイエスは清々しいバリトン! ソブラノも禁欲的で素晴らしく、一点の曇りもない、奇跡の《マタイ受難曲》でした。

 最も好きなアリア「憐れみ給え、我が神よ」。切々と繊細に、内気に紡がれる音楽への感動を記す術はありません。

 音楽鑑賞という体験を越え、聖書の言葉、受難の道行きそのものに包まれているようでした。
 キリスト者として、信仰とは何かを正直つかめないでいましたが、生まれて初めて、信仰という扉に触れた瞬間でもありました。

 この日最も素晴らしかった曲は、イエスの死の直後に歌われる合唱。


  いつの日かわたしが逝かねばならぬとき、
  わたしから離れないでください、
  わたしが死の苦しみに耐えねばならぬとき、
  どうかあなたが現れてくださるように。
  わたしの心に
  大きな不安があるとき、
  どうかわたしをその恐怖から引き離してください
  あなたの不安と苦痛の力によって。



 このピアニッシモの憂愁を纏って残りの人生を送ることのできる幸福……

 素晴らしいご演奏にこころからの敬意と感謝を……



  悔い改めの念が
  罪の心を千々にさいなむ、
    この涙の滴が
    好ましい香水となって
    イエスよ、あなたに注がれますように


 
page top
Copyright © Club Noohl. all rights reserved. ページの先頭へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。