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プライベート・プレス──書物と紙片にまつわるエトセトラ
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DATE: 2012/05/06(日)   CATEGORY: 展覧会
半喪と沈黙と祈り
ミストレス・ノール Mourning Objet Collection《バレエ詩集~半喪のパ・ド・ドゥ~》三日目が無事終了いたしました。

★ミストレス・ノール Mourning Objet Collection★
《バレエ詩集~半喪のパ・ド・ドゥ~》

2012.5.4~5.14 *水曜日定休
12時~20時
初台・画廊 珈琲 ザロフ


遠雷にエリオットの荒地を重ねて文学的ムードに浸ったのも束の間、此処極東の地では豪雨を降らせる雷とあいなり、お足元のお悪い中をお越し下さいました皆々さまに心より御礼申しあげます。


本日も関西方面から、昨年に引き続きご出張の合間をぬってお越し下さったご婦人、ご高名なる作家さま、敬愛する聖職者の先生、折々に拙展示にお越し下さる紳士淑女乙女の皆様、ザロフの常連さま、ヴリル協會さまのご紹介記事でお出まし下さったイケメン様など多彩なお客様に加え、バレエ検索で拙個展を見つけお越し下さった可憐なるバレリーナの少女に感激し、希有なる歌声と繊細な美意識持つ大好きなK女史とはお久しぶりにじっくりと会話を楽しみました。



毎回感謝の念と共に痛感致しますが、この度の展示でもつくづく思い至ったのは、本当に、お客様に恵まれ、助けられているということ。

陳列された作品群をご高覧になるお客様の後ろ姿ほど美しいものがあるだろうか……といつも思います。

小雨の昼下がり、あるいは雹にかわった禍々しい明るさ持つ室内、あるいは月明かり美しい静やかなひととき、作品群を背景にそこに佇む情趣は聖堂に満ちる清廉なる空気そのものです。



作品の究極の理想は無名の印象。

hanmo_04.jpg

……森奥、朽ちた館にふと迷い込む。湿った廊下の先、ひとつの扉を開けるとそこには、誰が蒐集したとも知れないオブジェ・コレクションがうっすらと埃を被って陳列されていた。世界の淵でひっそりと刻んできた時が積もり、また、喪われた時がそのまま凍結された予感にも満ちている。……いったい、誰がどんな目的で蒐集したオブジェなのだろう……

そこには、オブジェ群の時だけが流れている……
作り手の名前や痕跡はいっさい残っていない……



そのような展覧会を理想としているせいでしょうか。

展覧会の主役は、作品とそれをご鑑賞されるお客様の機微以外存在しないと思っています。作品を制作した作家はあくまでも脇役。極論すれば、作家不在がもっとも美しい形態。
展覧会はけっして、(生々しい意味での)作家自身の売り込みの場、自己紹介の場ではありません。そのような野心溢れる作家さまの存在は否定しませんが、私の美意識とは著しく異なります。

展覧会会場は本来神聖なる場所……。(言うまでもありませんが、わたくしの作品が神聖という意味ではありません)

たましいを削りながら孤独のうちに制作した祈りと、ご自身の貴重なお時間を削って訪れて下さったお客様の無償の愛が出会う極めて清らかな場所です。
作家の在廊の役割がたったひとつあるとすれば、その出会いの水面にすっと明かりが差し、たましいの震えたるわずかなゆらぎが生まれることを願ってじっと待つこと。

沈黙こそが作家の祈りであるべきです。
沈黙は、作品とお客様との間に生まれつつある機微への敬意の証です。
その沈黙は、深い彩りに満ち、どのような言葉よりも能弁であるはずです。豪奢な精神性、豊穣なる退廃も全て沈黙の中にあってこそです。

そのような神聖な場に、現実的で生々しい、人間界の些末が入る隙間は微塵もありません。



お客様の美しく玲瓏なる後ろ姿に今日も励まされ、美に対するささやかなる矜恃をこの度も再確認致しました。
お越し下さいました皆々様に改めて心より御礼申しあげます。



とはいえ、お客様の後ろ姿をじーーーっと凝視したり、むすーーーっと沈黙し続けたりはしませんのでどうかご安心を! 

明日も皆様のお越しをお待ちしております♪




   「わたしは静かに神を待つ」
           ……詩篇第62編
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