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プライベート・プレス──書物と紙片にまつわるエトセトラ
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DATE: 2012/12/02(日)   CATEGORY: 展覧会
伊藤俊《精霊(過去、現在、未来)》
《英国文学十四行詩集》後期展示「クリスマス・キャロル」にご参加のキネティックアーティスト・伊藤俊さまが、作品《精霊(過去、現在、未来)》について、御文を寄せて下さいました!

Spirit.jpg


 クリスマスキャロルは幽霊のお話です。主人公はケチンボスクルーじぃですが、多くのホラー同様話の骨格を成すのは館に登場する幽霊達、そして全体に醸し出される不気味で不思議な空間です。ディケンズは情景に合わせて彼らをGhost, Spirit, Phantom あるいはApparitionと描写して館の空気感を演出しています。そんな部屋の雰囲気から私が連想したのは、古い白黒写真で見た近代科学の創始者達、ケルビン卿やレイリー卿といった科学者の私設実験室です。時を告げる鐘の音とともに強い光を伴って立ち現れる精霊、まるで怪しい実験室の危ない化学反応の様です。そして実際彼らはスクルージをタイムマシーンにのせて過去、現在、未来へと時間旅行に連れていくのです。ぞくぞくするような実験室の光景です。

 今回の展示にあたり私はこの実験室にふさわしい装置をザロフ空間に置きたいと思いました。それはどこか古い柱時計を連想させるプロポーションを持ち、重力によって動きます。近代科学の幕を開き今もなお大きな謎となっている重力による装置はまさにこの場にふさわしいと思いました。

 私は長くダンスという身体表現を経験する中で常に重力の実験室を体の中に感じてきました。アンサンブルにおいて「振りを合わせるのではなく、動きの質を合わせるのだ」という勅使川原三郎氏の教えは衝撃的で、体の中を空っぽにしてその中へ空気や鉱物、様々な物質を取り込んで、あとは体の重さを感じて生じる反応に耳を(体を)澄まします。("体を澄ます"とは氏の言葉です。)このメソッドはまさに体の中を実験室にして危険な化学反応を起こすような作業でした。この重力が起こす自然(あるいは不思議)な動きとその精神的な作用をテーマにして私は制作活動に取り組んでいます。

 この作品ではその重力による動きに連動して3つの光が明滅します。スクルージに現れた現在、過去、未来の精霊です。不規則に気まぐれに現れるそれぞれの光、それらが織りなす軌跡を見ているうちに過去、現在、未来について思いを馳せるような時間を提示できればと思っております。そしてもしちょっとでもスクルージ老人のように優しい気持ちになったとしたらこの装置があなたをロンドン、カムデンタウンのスクルージ邸へ連れ出したのかもしれません。
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