Club Noohl
プライベート・プレス──書物と紙片にまつわるエトセトラ
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DATE: 2012/12/20(木)   CATEGORY: 展覧会
ソネット集、追憶。〜3〜
《英国文学十四行詩(ソネット)集》にて題材にした、
チャールズ・ディケンズ作
『大いなる遺産』『クリスマス・キャロル』の二作品はともに、
クリスマス・イヴから始まる物語でした。

聖夜を待ちながら、今宵もしばし追憶を……。

会期中にツイートした作家紹介をまとめてみました♪
画像は、同時刊行した作品集『a book of two pages 〜 The Sonnets I』
に掲載されている作品(部分)です。
(画像には、サイト同様、英タイトルと作家名を挿入しています)

今後の作家さま方のご活躍をどうぞご期待くださいませ。




★浅野信二さま★
(画家)


W_asanosama.jpg
《鏡の刻》(部分)/2012年
油彩、カンヴァス

 「18世紀以前の油彩画本来のマチエールに拘り、自家製の油絵具で制作を続けている。」…プロフィールより
 浅野さまの絵画の優美なるマチエールは、絵画というものが一枚の膜面であるという、シンプルゆえに幻想的な本質を思い出させます。
 画家の絵筆により絵具が支持体に定着されつつある現場……その精緻なる劇がカンヴァスの表面に封印されるポエジーは、決して観る者を奥へと誘わず、どこまでもマチエールの表面に留まり、薄さを伴っています。その薄さに宿る悠久の事象のなんという不思議でしょう……!
 殊に人物像から受ける印象は特異で、描かれることで喪うことを約束されたような空虚さが漂います。具象的世界でありながら、人物、背景という関係性が成立しない、収斂する消失点のない絵画はまさに、2005年個展タイトル「Cenotaph」(空墓、模棺)そのものです。
 前期展示《大いなる遺産》では、《鏡の刻》と題された油彩作品にて双子の母子像のごとくミス・ハヴィシャムとエステラを描かれた浅野さま。後期展示では『クリスマス・キャロル』を「冥府巡りの物語」として解釈、羊皮紙に鉛筆、パステル、テンペラで描いた作品をご出品中です。





★川島朗さま★
(オブジェ作家)


W_Kawashimasama.jpg
《サチス荘の影(夜の手紙)》(部分)/2012年
ミクストメディア

 「架空の物語、記憶をテーマにボックス・オブジェを制作している。」…プロフィールより
 川島さまのオブジェ作品はまるで、長い時を経て偶然此処に届けられたような、星々の光にもたとえられる煌めきと果てしない遠さとを併せ持っています。
 ボックス・オブジェの内部には、沈黙こそが言葉であるかのような深い沈静が漂っています。川島さまの手により閉じ込められた無言劇を前に、遠い記憶が掘り起こされるような、あるいは見知らぬ未来の記憶を先取りしたような、眩暈にも似た感覚の揺れを体験することでしょう。
 人は、砂粒のように流れ行く時の無常をかかえて生きています。川島さまの作品に存在する「確実な時」「美しき時のうつろい」は、そんな私どもの諦念をも美しく彩ってくれます。時という抽象をたとえ一瞬であってもつかまえることができた確かさを、観る者の内に遺します。
 川島さまは《大いなる遺産》《クリスマス・キャロル》両会期ご出品下さいます。樹脂を使った美しいアクセサリーも展示販売中です。時というマントを美しく纏う川島さまの世界をどうぞご堪能下さい。現在パラボリカ・ビスで開催中の《箱の中の詩学》展にもご出品されています。





★ひかり様★
(画家・服飾アクセサリー作家)


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《庭の蝶》(部分)/2012年
油彩、カンヴァス

 「普遍性・祈りをテーマに少女をモチーフとした絵画作品等を制作している。」…プロフィールより
 絵画、アクセサリー、紙製品のデザインなど、ひかり様は様々な技法を駆使して「少女」の多彩な魅惑を描き出します。
 油絵や鉛筆画によって生を吹き込まれた少女たちは、小暗きメルヘンとも呼べる幻想の小部屋に永遠に囚われている哀感と、閉じられた世界に守られている安堵とに彩られています。時に無防備な純真を覗かせるその表情に、追憶の中にしか居ない自分の少女期をあずけてみたくなります。
 此処ではない何処か、を思わせる絵画世界に遊ぶ少女たちを観るたび、過去という時間の中へ埋没していた大切な様々が、ふいにリアルな感触を持って掌に届けられる不思議を体験するのは、ひかり様のやわらかく深みのある色彩感覚と花びらを思わせるマチエールに秘密がありそうです。
 ひかり様は現在開催中の前期展示《大いなる遺産》にご参加、油絵と鉛筆画でそれぞれ、エステラとミス・ハヴィシャムを描いて頂きました。また、《悲劇の花嫁》と題された繊細なるヘッドドレスも必見です! 紙製品も大好評のひかり様の少女世界をぜひご堪能にいらして下さい。





★中村キク様★
(鉛筆画作家)


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《満ちる月》(部分)/2012年
鉛筆、アイボリーケント紙

 「ひんやり冷たく過ぎる時間。ぼんやりした光が照らす室内。それを描きたいと思ったとき、自分に一番合っていたのは鉛筆の濃淡だったと思う。見てくれる人の心に残る絵を作りたいと、現在精進中。」…プロフィールより
 繊細な筆致で銀色世界を紡ぐキク様の絵画を初めて観た時、ヴィクトリア朝から続く、正統なる挿絵の系譜が呼び覚まされました。古より人間の英知を養ってきた挿絵という古典が、現代へとまっすぐに受け継がれてきたこの煌めきを、奇跡と呼ばずなんと呼びましょう……!
 殊に児童文学の挿絵とは、幼き者の心に奇跡のひとしずくを落とし、その後の美意識をも決定づける存在、遠き日の一頁がいま此処に鮮明に呼び起こされる存在……精緻な道具立ても素晴らしいキクさまの銀色世界はきっと、観る者それぞれに色彩豊かな郷愁を喚起させることでしょう。
 キクさまは前期展示《大いなる遺産》にご参加、エステラと若き日のミス・ハヴィシャムを描いた渾身の鉛筆画三点をご出品頂いております。髪の毛、光、宝石、黒い炎など、描かれたモチーフに込められたひとつひとつの意味を読み解くのもまた醍醐味です。是非ご高覧下さいませ。





★佐分利史子さま★
(カリグラファ)


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《I know him, Marley’s Ghost!》(部分)/2012年
ガッシュ、アルシュ紙

 「文字そのものに、生命力や艶のようなもの、色気、情景、誰かの心を動かす何かがある……そんな一枚を目指し、“白い紙の上に静かに書かれたカリグラフィ”を基本とした作品を制作している。」…プロフィールより
 澄み渡った清冽なる詩情と共に、書物から文字を外つ国へと連れ出す佐分利さま。深い眠りについていた文字たちが、カリグラファの手によってゆっくりと書物の頁からはがされ、空中を舞い、新しい住処を探してペン先を彷徨する様のなんという幻想でしょう……。
 ペン先に踊る文字たちのダンスに耳を澄ませながら、新しい住居たる真白き紙の上に、一文字一文字愛情を込めて書き留められた作品を前に、文字というものが生まれ得た奇跡と人間が文字に託した想い、それらが悠久の時の流れを漂い続ける光景を思い、厳粛な気持ちになります。
 展示には『クリスマス・キャロル』の原文を綴った作品を4点出品中。マーレイの亡霊が登場する緊張感漂う場面を扱った作品は、仕上がった作品の構成が偶然グレートブリテン島に似ていたという不思議。夢の小部屋を清廉で満たす佐分利さまの作品群をどうぞご堪能下さい。





★ミストレス・ノール★
(服飾オブジェ作家)


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《喪の片袖〜ミス・ハヴィシャムの肖像》(部分)/2012年
ナチュラルラテックスラバー、絹糸、絹リボン、スパングル、絹布、ジェッソ、木

 ナチュラルラテックスラバーを皮膚に、絹糸を遺髪に見立て、追憶をテーマにした作品「モーニング・オブジェ/モーニング・ジュエリー」を制作しています(モーニング/Mourningは喪・哀悼の意)。
 また、ウィリアム・モリスの[ケルムスコット・プレス]に憧れて、1999年よりプライベート・プレス[Club Noohl]を主宰、限定版アートブックの出版や書物をテーマにした紙製品なども制作しています。
 美術展の企画やキュレーションも手がけ、2011年「菫色の文法」(ヴァニラ画廊)に続き、この度の「英国文学十四行詩集」を主催。敬愛する作家様方と訪れて下さるお客様のご厚意に支えられ、夢の小部屋が生まれました。
 前期展示《大いなる遺産》では、ミス・ハヴィシャムとエステラそれぞれの、ウェディングドレスの片袖(原寸大)オブジェ作品を出品、後期展示《クリスマス・キャロル》では、コラージュの手法を応用した写真作品を出品中です。





★安蘭さま★
(画家)


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《エステラ》(部分)/2012年
アクリル、インク、金箔、金粉、和紙

 「少女の憂いや儚い美しさを主題とした耽美世界を描き続けている。水彩、インク、色鉛筆、金箔、日本画材など多様な画材を使用」…プロフィールより
 甘やかな色彩と凛とした描線、繊細な点描美しい安蘭さまの世界は、観る者の心奥の忘れていた扉を開きます。
 開かれた扉奥には、観る者自身でも気づき得なかった原石がずっと置かれたままになっていることを、安蘭さまの絵画はそっと教えてくれます。原石を磨き続けること、それは過酷な作業…しかしそれ故に美が生まれることの歓喜を、安蘭さまの筆致はどこまでもやさしく語ります。
 去る九月にはヴァニラ画廊にて個展《花密のアンフラマンス》を開かれました。「絵画と対面することは、その指先を感じること…まさに“手当て”をして頂くことなのかもしれない」感動覚めやらぬノールの記事をご一読頂ければ幸いです。
 安蘭さまは前期展示《大いなる遺産》会期にご参加です。ハートを喪くした美少女エステラの肖像に取り組んで頂いております。エステラの複雑をどのように描いて下さるか、今から楽しみでなりません。どうぞご期待ください♪ 安蘭さまの祈りの言葉が皆様のお心に響きますよう……





★セラフィム様★
(服飾デザイナー)


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《空虚の美 エステラのドレス》(部分)/2012年
ウール生地、コットンレース、ポリエステルリボン

 「SERAPHIMとは六枚の翼を持つ天使。身に纏う人の翼になれるような洋服をコンセプトにクラシカルでロマンティックな洋服を制作しています。」…プロフィールより
 セラフィム様は、布やレースで孤高の美を紡ぐ、まさに現代の詩人です。
 浪漫的でありながら、甘やかな魅力だけではない、洗練や典雅、そして何よりも祈りの言葉が其処には在ります。セラフィム様のお洋服を身に纏う者は皆、その優しさに安らぎを覚え、凛とした佇まいに身が引き締まり、祈りが込められたひと針ひと針に敬虔な気持ちになります。
 セラフィム様の審美眼で選ばれた布やレースに寄り添うことは、良き友との静かな語らいのひとときを彷彿とさせます。だんだんと、着るたびに美しい記憶は布やレースに織り込まれ、そうして私たちの精神性を守りまた豊かに彩る第二の皮膚として、その輝きを増してゆきます。
 セラフィム様は前期展示《大いなる遺産》にてエステラのドレスを発表中。ヴィクトリアンをモダーンにアレンジしたセーラーカラーのドレス、その美しきポエジーをぜひご高覧下さい。凛とした黒無地、ブリティッシュ・トラッドの繊細なストライプ、どちらがお好みでしょう?





★須川まきこ様★
(イラストレーター)


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《芳香の午後》(部分)/2012年
ペン、ケント紙

 「女性から見た女性のリアリティを追い求めている。」…プロフィールより
 今年ローマにて個展を開催され、作品集も精力的にご出版、国内外でご活躍の須川さまの一番の魅力は「いま」という時代を強くそしてやさしく映し出す筆致にあると思います。
 知性と野性をレースのごとくエレガントに着こなす女性たち……その女性たちを象る細くしなやかな描線はそのまま、女性たちの自立した矜持のようでもあります。決して声高ではない、ノンシャランな矜持。レースの繊細と軽やかさがその明朗なる存在性をいっそう際立たせています。
 『Melting』『Lace Queen』の二冊の作品集でその魅力は十分すぎる程堪能できますが、私の一押しは絵本『ニーとメメ』。慈愛に満ちたやさしい物語が、これほどまでに洗練されたかたちで描かれた書物を私は知りません。
 須川さまは前期展示《大いなる遺産》会期にご参加です。ディケンズ世界がどのようなかたちで「いま」によみがえるのか、エステラが纏うレースはどのような優雅さで「いま」にゆらめくのか……待ち遠しい気持ちでいっぱいです。皆様、どうぞご期待下さいませ!





★江津匡士さま★
(画家)


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《Card Game》(部分)/2012年
アクリル、絹本

 「イメージの中に浮遊する在りし日の女学生像をモチーフに、絵画作品群《ジャパガ》を制作している。」…プロフィールより
 《花物語展》にご参加中の江津さまは、往年のセーラー服に身を包み、みどりの黒髪麗しい日本の女学生を数多、世に送り出してきました。
 往年の女学生を描いた作品群は、一滴の清廉なる恵みの雨のように、現代という古き良きものが喪われつつある乾いた時世に潤いをもたらす存在です。一滴、また一滴と静かに沁み入る雨粒は、真珠玉のごとき玲瓏で観る者のこころを潤し、陰となっていた場所をやさしく照らしてくれます。
 描かれる女学生たちはいつも清楚な面影で想いに耽り、微睡んでいます。そこには、彼女たちの精神を守り、思春期の複雑や繊細をやさしく包みこむセーラー服という存在がかかせません。「セーラー服は少女時代にだけ許された限定服」…江津匡士《日本少女服裝帖》『別冊花柄』収録より
 江津さまは前期展示《大いなる遺産》にご参加下さいます。セーラー服は英国ヴィクトリア朝時代に生まれました。同じ時代に活躍したディケンズが生んだ美少女エステラを、一貫して日本の少女《ジャパガ》を描いてこられた江津さまがどのように解釈なさるのか、どうぞご期待下さい!





★金田アツ子さま★
(画家、時々お菓子職人)


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《クリスマス・キャロル》(部分)/2012年
アクリル、イラストボード

 「心のどこかにずっとおいてもらえる様な絵を描きたくて精進中。誰にとっても懐かしい、祈りの言葉絵になれますように。」…プロフィールより
 乙女の館の女主人たるアツ子さまは、一貫して凛と佇む乙女画を描き続けてこられました。
 ひとりひとりの乙女に託された、アツ子さまのいのちの煌めき……そこに棲む乙女たちは、どのような時も沈黙したまま強い意志を持ち続ける不変の存在です。人の心も時世も移ろいゆくのが常の日々にあって、その乙女たちの不変は私たちにどれほどの勇気を与えてくれることでしょう。
 現在開催中の《花物語展》は、アツ子さまが長く愛してこられた『花物語』に心を寄せてご企画され、キュレーションもつとめられました。《花物語展》では孤高の乙女画を、その後の当《ソネット集》では、もうひとつの魅力である花々を丹精したちいさな絵画作品をご高覧頂けます。
 アツ子さまは後期展示《クリスマス・キャロル》に[絵画・製菓]でご参加下さいます。クリスマス・ツリーのオーナメントのように、清らかな夢のつまったちいさな絵画群と、やさしいお味で皆を幸せにする焼菓子を麗しきアドベントの季節にどうぞご堪能にいらして下さいませ♪





★伊豫田晃一さま★
(画家・グラフィックデザイナー)


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《Estella》(部分)/2012年
水彩、鉛筆、羊皮紙

 「羊皮紙や古紙に水彩・色鉛筆で描いています。」…プロフィールより
 伊豫田さまの作品を前に、まず味わう感覚は眩暈です。向こう側から静かに押し寄せる見知らぬ気配に身体が反応し、そののち理性が混乱を沈めようとします。
 卓越した技術に裏打ちされた絵画世界は、時に写実的なまでに具象的に描かれていながら、気配や芳香のごとき量感を伴った抽象として場に漂い出します。見入る程にその抽象が静かに変化しつつあるよう錯覚するのは、観る者の精神の震えに呼応する故の不思議と言えましょう。
 モチーフとなる原作を深く読み込み、そこから思いがけない原石を拾い上げ、そうして克明に磨き上げられた刻面は、絵画技法や支持体への探求とあいまって、突然変異のごとき煌めきを宿します。その煌めきは理知的であると同時に、原初の風景のごとき郷愁をも呼び覚まします。
 前期《大いなる遺産》では、登場人物の肖像画と共に、サチス荘や監獄船を描いた風景画でも皆を魅了した伊豫田さま。後期展示では、原作からウィットある物語性を導きだし、独自の世界を展開中です。洋古紙に描かれた作品と共に、エングレーヴィングによる銅版画も必見です!





★伊藤俊さま★
(キネティックアーティスト)


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《精霊(過去、現在、未来)》(部分)/2012年
ステンレス、LED、他

 「ステンレスを主とした金属素材を用いて立体作品「percolation sculpture」を制作、 一瞬にして消え続ける美しい動き、明滅する光、宇宙の様々な現象に思いを馳せるような静かな時間をテーマに活動を行っている。」…プロフィールより
 オブジェを形作るステンレスの精緻なパーツは、時間・空間を純化した構成物のようであり、歯車による回転や落下の運動は、宇宙や自然の摂理を抽出したような神秘に満ち満ちています。と同時に、体内の心臓音や血液の流れに呼応する心地よい律動をも併せ持っています。
 伊藤さまは、勅使川原三郎氏の初期作品の頃から舞台に立たれていたダンサーでもありました。硬質な少年性、精緻なる時と重力の神秘、小暗きメルヘン……無音で動く永久器官のようなオブジェ作品を前に、私たちも原初の美しき律動を自身の内に見いだすことでしょう。
 『クリスマス・キャロル』展にご出品中の《精霊(過去、現在、未来)》について、文を寄せて下さいました。→☆ 午後、夕刻、そして夜へと、刻々と表情を変える精霊たちのささやきをどうぞご堪能にいらして下さい。





★永井健一さま★
(画家)


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《無花果の花》(部分)/2012年
鉛筆、アクリル、アルシュ紙

 「アクリル絵の具を用いたペン画で制作。近年は鉛筆画も出品している。描くテーマの多くは、内外の光。」…プロフィールより
 薄ら氷のごときあわやかな筆致と、光線を奏でるような煌めく色彩感覚で、物事のあわいに存在する事象を描き出す永井さま。
 「繊細」と一言で表現しては多くを取りこぼしてしまう程、描かれる世界はしなやかな感性の震えに支えられています。朝露を思わせる清々しい透明感と、夜露のごときひんやりとした硬質を併せ持つ作品は、横顔の肖像画のように、片方の側を秘めたまま届けられます。
 観る者と対峙するのではなく、そっと耳を澄まし、横向きで、耳を寄せ合う関係をいざなう作品世界。この世界からほんの少し遊離した場所から、世界の神秘を控えめにささやく朗読者の佇まいとでも申しましょうか……そのささやきはどこまでもやさしさに満ちています。
 《クリスマス・キャロル》展にはペンと鉛筆を駆使した新作四点をご出品中です。物語から静寂のひとしずくを掌に受け、そのちいさな煌めきを長い時間をかけて結晶化して下さいました。玲瓏なる作品達が夢の小部屋で静やかに呼吸しています。どうぞそっと耳を寄せて下さい。



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