Club Noohl
プライベート・プレス──書物と紙片にまつわるエトセトラ
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DATE: 2008/03/10(月)   CATEGORY: 随想録
洋裁《パターンメーキング立体》・15日目最終日
半年にわたりレッスンした立体裁断も、最終日をむかえました。ボディ(トルソ)を前に、彫刻するように衣服を立体裁断してゆくので、ニュアンスをつかむまでにしばし時間を要しましたが、いまではその楽しさ、奥深さ、難しさを実感し、ますます衣服世界のとりこです。

同時に平面パターンを習ったことも正解でした。違う方法論で同じ形の衣服にアプローチするので理解が深まります。むかしから、地図やら設計図やらの美しく謎めいた線の集合体が大好きだったので、作図したスカートやパンツの図面に走る細い線に不思議な愛着を覚えています。作図用紙が薄い包装紙のような紙種なので、その質感を扱うことも楽しみのひとつでした。

布やリボンや糸、手芸、衣服を眺めることと着ることは、幼いころからずっとこころを掴んではなさない物事でした。おしゃれが好き、というよりも、衣服そのものに対するフェティッシュな気持ちのようです。そのせいか、持っている衣服や装身具類、アンティークのドレスや着物、帽子、靴、バックなどは、外へ身につけていくよりも、自室に陳列して眺めたり、自室で身につけて悦に入ったりする方が圧倒的に多いです。余所様からみたら、ちょっとアブナイ風景かもしれません・・・

中でも最も好きな衣服は、30年代英国の紳士服です。こればかりは着用するわけにはまいりませんのでもっぱら書物を集めたり、当時を舞台にした映画をみたり、英国のエレガンスを得意とする紳士服のお店に行って眺めたりします。歴史と美意識が打ち込まれたような生地のサンプル帳を見ているだけで胸が高鳴ります。ツィードとリネンほど、英国紳士のエレガンスを物語るものはないのではないかしら・・・と。しなやかな生地よりも、硬質な質感のある生地の方が、禁欲的で精神性が深いように感じています。

ほんの入口にすぎませんが、衣服を作る側の視点に立ってみて、その特異な美意識のありようがほんの少しわかったような気がします。機能性と装飾性を備えた衣服、もっとも身近でありながらどんなアヴァンギャルドも許される世界観・・・それを優雅に実現してゆく方々はまさに現代の詩人です。ファッションというと、派手な業界逸話やいっときの流行、反対に中国や中央ヨーロッパでの安価な労働の実情が付随している複雑な世界ですが、その原点にある作り手の玲瓏な美意識を直に身につけることができる奇跡の結晶でもあります。

そんな衣服の素晴らしさに、これからもずっと触れてゆきたいと思っています。
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