Club Noohl
プライベート・プレス──書物と紙片にまつわるエトセトラ
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DATE: 2013/05/17(金)   CATEGORY: 随想録
サンデーバザール終了しました
 silent musicさま主宰の《サンデーバザール》は、大盛況のうちに無事終了致しました。

 沢山のおなじみのお客様、初めてのお客様が《愛書家のためのちいさな小間物店》にお立ちより下さいました。「Tea Bag Handkerchief」と「Paper Bar」が殊に好評で喜んで頂けましたこと、本当に光栄に存じました。

 皆様の日々に、小間物たちが彩りを添えることができますよう…

 お声をかけて下さいましたsilent musicさま、ご一緒できました作家様方に心より御礼申し上げます。

 今後、通信販売の体制を整え、アクセサリーを含めた小間物店を本格的に始動する予定です。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。
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DATE: 2013/05/13(月)   CATEGORY: information
サンデーバザール
silent musicさま主宰の《サンデーバザール》に参加します

★終了しました★

★サンデーバザール★
10名以上の素敵な作家さま方が
様々なお品をご出品される楽しいバザール!
5月12日(日)12時〜19時
場所:silent music
*開催場所は個人のご邸宅のため、住所は公開しておりません
 お手数ですが、ノールまでご一報下さい。地図をお送り致します
 noohl@tokyo.email.ne.jp



ミストレス・ノールは
《愛書家のためのちいさな小間物店》をひらきます♪

見た目も甘やか、使って楽しいオリジナルの紙製品と、
これからの季節に特に重宝するハンカチてぬぐいなどを出品
どちらも物語を題材にしたお品、
《ふしぎの国のアリス》風味と《ダロウェイ夫人》風味がございます♪
税抜き価格で販売いたします

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チョコバーに見立てたメモ帳《Paper Bar》
猫舌型チョコを模したブックマーク《Paper Tongue》
ティバッグのように包装したハンカチてぬぐい《Tea Bag Handkerchief》などなど



☆Tea Bag Handkerchief〜ダロウェイ夫人風味☆
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ティバッグのように包装されたハンカチてぬぐい

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ハンカチてぬぐいの絵柄。ダロウェイ夫人の物語にちなみ、
アールデコ時代の片手袋をモダーンに図案化
しなやかな岡生地を仕様し、伝統的な注染で仕上げました
お色目は桃色と紺の二種、端は三巻縫いでほつれ留め済みです
ティナプキンとしてティタイムのお供に♪



☆Tea Bag Handkerchief〜アリス風味☆
TBH_A.jpg
「Don’t drink me!」

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アリス風味はアリスの三編みが絵柄、お色目は若草色と桃色の二種
折り畳むとちいさく納まるので、お出かけの際にも便利♪
洗う程にしなやかになります




こちらは《愛書家のためのティタイム・キャスケット》
読書と喫茶のお供にどうぞ・・・
贈り物にもいかがでしょう?

☆アリス風味☆
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京都の職人さんが丹精した小箱は薄いので携帯用の文箱になります♪
Paper Barの絵柄は「アリスの三編み」と「アリスの右足さま」
*外装のリボンが細リボンに変更になりました


☆ダロウェイ夫人風味☆
TTC_D.jpg
小箱は蓋と本体を別々にしてトレイとして使用することも可能です
私はアクセサリーを制作する際の材料入れとしても日々愛用中♪
Paper Barの絵柄は「フランス製の片手袋」と「ダークレディの薔薇」
*外装のリボンが細リボンに変更になりました



ダロウェイ夫人の季節へと向かう清々しい一日、
愛書家のためのちいさな小間物店をどうぞのぞきにいらしてください

お待ちしております♪
*お買い物Bagをお持ちください*
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DATE: 2013/04/29(月)   CATEGORY: 展覧会
HOLONのちいさな展示、終了しました
 デザイン工房HOLONのちいさな展示(銀座・MMF)はお陰様で無事終了いたしました。お越し下さいました皆々様に心より御礼申し上げます。
 森岡書店に引き続きふたたびご来廊下さった方々も多く、感激で胸いっぱいでございました。

 今後はオリジナル書体100書体完成を目指し、書作品やカリグラフィ作品も交えた展示を近い将来実現できれば…と思っております。

 次回のスクリプトリウム、菫色の写字室にてお会いできますことを楽しみにしております。

 ☆作品をご購入下さった皆様へ☆
 MMFより発送となります。いましばらくお待ち頂けましたら幸いです。


 感謝を込めて・・・

                     ……デザイン工房HOLON
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DATE: 2013/04/28(日)   CATEGORY: 展覧会
HOLON タイポグラフィ作品展
☆終了しました☆

デザイン工房HOLONの小さな展示、開催中です

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シルクスクリーン作品《沈黙の聖女》


HOLON タイポグラフィ作品展《聖書の言葉を写し、纏う試み》
会期:4月1日(月)〜26日(金)*日・祝休館
開館時間:11時〜13時、14時〜19時
     ★26日最終日のみ、〜18時まで★
会場:メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス
   地下1階 インフォメーション・センター


★急遽決定した展示のため、
会場のHPに拙展示の情報は掲載されていませんが開催しております!
★ちいさな図書スペースのため、在廊は致しません



展示内容は、2月に開催した《スクリプトリウム》にて展示した作品の抜粋です。シルクスクリーン作品6点、書物作品1点、「書体の廻廊」1点のみのちいさな展示です。新作ポストカード1点出品中、会期中にもう1点追加します。

《スクリプトリウム》と内容は重なりますが、ゆっくりご高覧頂ける空間となっております。おついでございましたら是非お立ちより下さいませ。

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DATE: 2013/04/07(日)   CATEGORY: 展覧会
Fin. Brooch
★展示会は終了しました★

セラフィム様にて開催中の
バレエをテーマにした展示会「Le Spectre de la Rose~薔薇の精~」にて
新作ブローチ・シリーズ《Fin. Brooch》展示販売中です
初日よりご好評を頂き、さっそくご予約を承りました♪
心より御礼申し上げます

恐れ入りますが、ご予約後の受注生産になります
展示会受注分のお渡しの準備が整うのは4月22日になります




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《Fin. Brooch》とはすなわち「終幕のブローチ」……
舞台の幕が降りた後、暗闇の劇場に遺されたバレエの余韻や記憶を
ブローチに仕立てたシリーズです


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ミストレス・ノール個展《バレエ詩集〜半喪のパ・ド・ドゥ》(2012)DM


長きに渡り敬愛し、鑑賞してきたバレエの舞台……

終幕後の夢見心地の中でふと、
優雅なる舞踊手たちや幻想的な美術、あわやかな音楽が去った後の、
誰も居ない、暗闇の静寂に想いを馳せます……


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《バレエ詩集〜半喪のパ・ド・ドゥ》展示風景(2012)


バレエの物語の断片、空気を震わすピアニッシモの一節、
舞踊手たちのポアントの跡、流れ落つるひとしずくの涙、
シフォンレースの襞に添う慈しみや悲しみ……

それらバレエの遺香がしんしんと降り積もる暗闇、
その深い沈黙を、鑑賞の度、こころに留めてきました


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そして、黒という暗闇の質感の美しさと、
人の手を離れた清潔感漂うひんやりと硬質な風景を
ブローチに仕立てたい…と思ってまいりました


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黒いマットの土台は
終幕後の静寂に満ちた舞台を模しています
その舞台の上に、物語の断片、バレリーナの遺髪、涙、
ひとときを切り結んだリボンなどを、
息をひそめて標本するように、配置しました

デザインはモダーンで構成主義的、
オブジェ作品がそのままブローチになったシックなお仕立てです

絹糸、絹リボン、スワロフスキーなどの上質素材を使用し
1点1点、祈りを込めて、丁寧に制作しています





☆《Fin. Brooch〜ダイヤモンド》シリーズ☆
バランシン振付作品《ジュエルズ》の第三幕「ダイヤモンド」が題材です

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[左上]
バレリーナの遺髪と黒の時間、そして輝きの封印
サイズ:9cm×9cm

[中央]
闇をひっそり吸い込むダイヤモンドの透明
サイズ:6cm×6cm/金具は帯留めにも変更可能です

[右]
バレリーナの遺髪、触れることを拒む涙のひとしずく
ネックレスタイプ/シルクリボンで長さを調整できます
サイズ:H15cm×W5cm



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MIU MIUのコートワンピースにあわせてみました♪
漆黒のお洋服にはひときわシックに映えます



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帽子やバッグに付けても素敵になります


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《ジュエルズ》より「ダイヤモンド」へのオマージュ
ミストレス・ノールのオブジェ作品(2011)






☆《Fin. Brooch〜ローズ・アダージョ》シリーズ☆
《眠れる森の美女》第一幕「ローズ・アダージョ」の場面が題材です

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[左上]
薔薇色に染まるバレリーナの遺髪、四人の王子の涙
サイズ:9cm×9cm

[左下]
オーロラ姫と四人の王子が切り結んだ薔薇色の時間
サイズ:9cm×9cm

[右上]
バレリーナの遺髪に寄り添う四人の王子とデジレ王子の煌めき
ネックレスタイプ/シルクリボンで長さを調整できます
サイズ:H15cm×W5cm

[右下]
遺されたシフォンの襞、オーロラ姫の心の結び目
サイズ:6cm×6cm/金具は帯留めにも変更可能です



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大きいサイズのブローチは
ひとつ身につけただけでドレスアップできます♪



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アヴァンギャルドなネクタイをイメージして…
ネックレスタイプ/シルクリボンで長さを調整できます



オペラ座エトワール、オーレリ・デュポンさんの優雅なるローズ・アダージョ






☆《Fin. Brooch〜半喪のパ・ド・ドゥ》シリーズ☆
ミストレス・ノール作の架空のバレエ《死都ブリュージュ〜半喪のパ・ド・ドゥ》が題材です

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[上]
霧雨の加護、宿命のポアント
サイズ:H6cm×W15cm

[下]
ブリュージュの半喪の水面、不在の面影
サイズ:6cm×6cm/金具は帯留めにも変更可能です



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オブジェを身につける感覚で、ブリュージュの霧雨を纏って下さい♪


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《バレエ詩集〜半喪のパ・ド・ドゥ》展示風景(2012)


セラフィム様の店内、拙ブローチ展示コーナーに
《バレエ詩集〜半喪のパ・ド・ドゥ》に出品した
ノールの作品を2点、展示頂いております♪
併せてご高覧頂けましたら幸いです


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ミストレス・ノール《喪の色、罪の色》
(2012・セラフィム様所蔵)


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ミストレス・ノール《霧雨の加護》
(2012・セラフィム様所蔵)
☆こちらのコラージュ・フォトを今回のブローチに閉じ込めました☆






小さなサイズのブローチの金具は帯留めにも変更できます
モダーンな和装はいかがでしょう?
アンティーク着物はより大胆な雰囲気に
粋な江戸小紋にもシックに調和します







これまで一貫して
追憶をテーマにしたモーニング・ジュエリーを制作してきました
(モーニング/Mourningは喪、哀悼の意)
バレエの物語を追憶する新しいブローチ・シリーズが
皆様の胸元にやさしく寄り添うことができますように……

《Fin. Brooch》は《O・SA・GE Brooch》同様、
今後様々なデザインで展開してゆく予定です♪





[Fin. Broochについて]
使用素材と黒という色味の性質上、ほこりが付着すると目立ちます
ご使用後は必ず専用の小箱に保管くださいませ
付着したほこりはやわらかい筆などでやさしくはらってください

身につける際はブローチの側面をお持ちください
マットな土台に強く触れた場合、指紋が付く場合がございます
その際は付属の専用ウエスでやさしく磨いてください









新作ブローチ以外のモーニング・ジュエリーや紙製品は
セラフィム様店頭にて発売中です
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DATE: 2013/03/16(土)   CATEGORY: information
菫色の狭間
SCRIPTORIUMのポストカードシリーズを制作中です

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コラージュの手法を応用した写真シリーズをモノトーン印刷、
そこに清廉なる泉のごとく、菫色の狭間を銀箔押し
欽定訳聖書(KJV・1611年)からの引用も綴られています

モダーンなホーリーカードのような雰囲気で

本作は、大変遅くなりましたが
森岡書店での展覧会にお越し下さった方々へ
近く、お礼状として送付申し上げます♪



もうすぐイースター……
厳かなる心持ちで到来を待ち望みたいと存じます



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DATE: 2013/03/03(日)   CATEGORY: information
菫色のお届け
HOLON タイポグラフィ作品展《スクリプトリウム》にて
作品をご購入下さいました皆々様に心より御礼申し上げます

版画作品(シートのみ)ご購入の方々へは
3月3日着で作品を発送いたしました

直接お渡しの方々へは今月中に個別にお渡し致します

額装ご希望の方々、写真作品ご購入の方々へは
額の手配の関係で今月半ば頃発送予定です

いましばらくお待ち頂けましたら幸いです


また、限定版書物《QUIRE》をご購入の方々へは
イタリア製版画用紙の取り寄せに大幅に時間がかかる関係で
お届けが四月になってしまいます
大変お待たせしてしまい恐縮ですが
何卒よろしくお願い申し上げます



感謝を込めて・・・
HOLON
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DATE: 2013/02/18(月)   CATEGORY: SCRIPTORIUM
菫色の写字室、閉幕。
 HOLON タイポグラフィ作品展《スクリプトリウム》は、お陰様で盛況のうちに無事閉幕いたしました。


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 ご来廊下さいました皆々様に心より御礼申し上げます。森岡書店さんの美しき空間にて菫色のひとときを皆様と共有できましたこと、本当に嬉しゅう存じました。

 タイポグラフィと聖書という、私どもにとっては生活の中心とも言える題材の展覧会でしたが、一般的には少しマニアックな分野であるかもしれず、いつも以上に緊張の心地でお客様をお迎え致しました。


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菫色の沈黙に棲まう紙と文字たち……


 開幕してみると、皆様思い思いにスウリプトリウムの文字たちを楽しんで下さり、じっくりと時間をかけてご高覧下さるお客様が大変多かったこと、また、一度ならず二度ご来廊下さったお客様もいらっしゃり、過去の不遇の時代を思い返しながら、ただただ感謝するばかりでございました。

 初日と最終日は殊に多くのお客様がかけつけて下さり、ご挨拶やおもてなしが行き届かず反省しきりでしたが、沈黙に棲まう文字たちが、私ども以上に多くを語ってくれていたかもしれません。


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「スカーレット・マルタゴン(百合)」の書体で欽定訳聖書の「雅歌」を写す……
パラグラフ(段落)記号はオリーブの木♪



 悠久の時を経て脈々と受け継がれ、いま此処、私どもの掌にこうして届けられた聖書の奇跡を、頁をめくるたびに想いめぐらし、厳粛な気持ちになります。膨大なる言葉の森にそっと分け入り、少しのささやきも逃さぬよう心を澄まし、清らかな気持ちで小さな文字を辿る日々…… 
 「菫色は特別な色なのですね」と何人ものお客様からお声をかけて頂きました。私どもにとって菫色とは、物事のあわやかな隙間にそっと存在する時空間、どこまでも澄み渡った沈黙の場所をもっとも正確に言い表す言葉です。スクリプトリウムもその場所に存在させたい……制作とは常に、菫色を探す旅程でもあります。


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シルクスクリーン作品《ゲツセマネの祈り》


 その道行きで様々な奇跡や出会いがあり、この度のスクリプトリム、菫色の写字室が生まれました。


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《孤独の痕跡(あと)、地上の時間の残り、乾いた疵》デジタル写真、銀塩プリント


 制作の過程で、敬愛するピアニストである久保田恵子さまからR.M.リルケ詩集『マリアの生涯』(塚越敏訳・国土社・1986年刊)を教えて頂いたことは本当に大きな出会いでした。エレミヤの哀歌の世界にリルケの世界を重ね、写真作品《孤独の痕跡(あと)、地上の時間の残り、乾いた疵》と《やさしい肩》は生まれました。タイトルもリルケの詩からの引用です(一部、漢字を仮名に変更しています)。


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スクリプトリウム、書体の廻廊に佇む久保田恵子さまの美しき後姿♪


   イエスは ほんの一瞬 女性(マリア)の優しい肩に
   やがて永遠のものとなるその手を
   わずかに載せただけであった。
   ふたりは 春の季節の
   樹木のように、静かに
   しかも永遠に、
   ふたりの極度の交わりの
   この季節を始めたのだった。

        ……R.M.リルケ詩集『マリアの生涯』(塚越敏訳)より



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《やさしい肩》デジタル写真、銀塩プリント


 「森林の文化である独逸語圏では、定期的に森林を間引き(伐採)しないと地上に光が届かなくなるため、木こりたちがその役割を担ってきた。と同時に、雷などの自然現象による間引きも行われ、そのような場所は聖なる場所=リヒト(光)として大切にされてきた。そのリヒトを思わせる作品です」と、科学基礎論がご専門で、世界中の言語を習熟している方からご感想を頂戴しました。リルケの世界観を重ねたことを申し上げるとその符合に大変驚いていらっしゃいました。リルケの言う「痕跡(あと)」「空席」「間隙(かんげき)」の底流にある感覚を深い部分で理解したひとときでした。


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限定版書物《QUIRE〜エレミヤの哀歌》に納めた欽定訳聖書(KJV・1611年)の原文
嘆きの物語にふさわしき藍色の雁皮紙に……



 聖書やキリスト教への理解を深めるため、これまで神学者・加藤隆先生のご著作を拝読し、少しずつ学びを重ねてきました。そして、本当に光栄なことに、会期最終日、尊敬申し上げる加藤先生がご多忙にもかかわらずご来廊下さったのです! ……まるでオスカー・ワイルドのようなエレガンスを纏った先生を前に終始緊張しきりでしたが、さらなる感激の出来事などもあり、ただただ神様に感謝するばかりでございました。
 「旧約聖書はヘブライ語、新約聖書はギリシア語で書かれているので、それらの言語にも挑戦してみてはいかがですか」との大いなるご助言も頂戴し、スクリプトリウムの新たな目標も生まれました!


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マタイ受難曲に捧ぐ作品《St Matthew Passion》(左)
雅歌が題材の《園の中に住む者》(右)/リトグラフ作品



 また、初めて訪れて下さった青年(二度もご来廊下さいました♪)から、セルジュ・ルタンスの世界を思わせます…との嬉しいお言葉も! 敬愛する芸術家であるルタンスの香水「ローフォアッド」をひそかに身につけておりましたので、感激もひとしお……





 今回の展示はデザイン工房HOLON設立16周年を記念した展覧会でもありました。これまで手がけた約1,000冊の装丁の中から、代表作を時系列に並べ、各分野の方々から頂戴したコメントも併せて半立体のダイアグラム・オブジェに仕立てました。


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装丁年表、ダイアグラム・オブジェ
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装丁してきた書物群





 また、嬉しいことのひとつに、ノール作のブローチを身につけてご来廊下さる乙女の方々がたくさんいらっしゃり、心の中で号泣しておりました……皆様を激写することを失念してしまいましたが、幸運にも敬愛する画家・黒木こずゑ様を激写!


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いつもかわゆらしきこずゑ様♪ 作品《沈黙の聖女》と共に… 
ノール作のリボンとタッセルのブローチ(ブリティッシュグリーン)をお帽子に付けて……







 菫色の写字室にて聖書を写字すること、オリジナル書体を制作することはライフワーク。またいつか、沈黙に棲まう文字たちと共に皆様とお会いできますことを楽しみにしております♪


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 最後になりましたが、清廉なる空間を私どもに貸して下さり、会期中、様々にお心尽くしを下さいました森岡書店ご当主の森岡さまに心より御礼を申し上げます。






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会期終了の翌日、敬愛する静岡の医学司書・T女史より美しい薔薇の苑が届きました♪
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DATE: 2013/02/16(土)   CATEGORY: SCRIPTORIUM
《スクリプトリウム》
 HOLON タイポグラフィ作品展《スクリプトリウム》も早いもので最終日を残すのみとなりました。

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HOLON タイポグラフィ作品展《スクリプトリウム》
〜聖書の言葉を写し、纏う試み〜


2013.2.11[月・祝]〜16 [土]
13:00〜20:00
森岡書店(日本橋茅場町)



 約二十年前からこつこつと制作してきたオリジナルのアルファベット書体を初めてお披露目する展示です。

Typefaces.jpg《書体の廻廊》修道院の廻廊に見立てたデザイン枠に書体が並んでいます


 約二十年前に初めて制作した書体《パピルス》と、今年に入って制作した書体《薔薇窓》が仲良く並んでいる風景は感慨深いものがあります…

 制作し始めた当時、「可読性の低い(=読めない/読みにくい)書体は文字とは言えない」とまったく共感を得られず、それでも「言葉の意味を伝達することだけが書体(文字)の役割ではないはず。言葉には、ニュアンスや色彩、語られる人の声色による印象、歌われる言葉の艶やかさ……等々、曰く言いがたい多彩な情景があり、それらを記述するための書体があってもいいはず……」と、可読性よりも装飾を重視した書体を制作し続けてきました。

 そんな不遇の時代、この書体に強く共感し応援し続けてくれた方が二人居ました。

 ひとりは当時通っていた美術大学に「映像工学」を教えに来て下さっていた慶應義塾大学の福田忠彦先生。そのご縁で、人間工学がご専門の先生の元、オリジナル書体の研究を論文にまとめ、二つの国際会議で発表することができました。また、慶應義塾大学(藤沢キャンパス)での先生の授業の枠に私の発表を組み込んで下さり、年に一度、学生さん達にむけて発表する機会を設けて下さったりと、言葉では尽くせぬ程のご恩があります。先日、福田先生がご多忙の中ご来廊下さり、長年の成果をご高覧頂けたことは本当に嬉しく、感慨深く、神様にただただ感謝するばかりでした。

 もうひとりは、共にHOLONとしてブックデザイン業を営んできた腹心の友・ルカさん。1997年のHOLON設立以来、オリジナル書体制作は二人のライフワークとなり、この度の展覧会を迎えることができました。


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左:リトグラフ作品《Ash Wednesday》
「創世記(文語訳)」の一節が書体[セメタリー・ゲイツ]で組まれています
右:リトグラフ作品《喪の都邑(みやこ)》
「エレミヤの哀歌(欽定訳聖書)」の一節が書体[短夜][サフラン・クロッカス]で組まれています



 取り上げた聖書の一節に最もふさわしい書体はどれか……という試行錯誤から制作は始まります。これまで制作した書体の中に最適な書体がない場合は新しい書体を制作しました。


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 《Ash Wednesday》は聖灰水曜日に捧げた作品。創世記の一節「汝は塵なれば塵に皈るべきなり」が綴られています(日本語を綴る場合はローマ字組みしています)。灰の水曜日は大斎節の始まりの日、生と死に想いを寄せる日です。灰の水曜日の礼拝では、一年間大切にしてきた棕櫚の十字架を燃やし、その灰で額に十字架の印を受けます。その際、司祭が唱えるのが先の一節にちなんだ文言「あなたは塵から生まれたのだから、塵に帰らねばならぬことを覚えなさい」。
 書体「セメタリー・ゲイツ(制作年:2012年)」は欧羅巴の墓地の鉄細工の門をイメージして制作、墓地の門はまさに生と死の狭間に位置する存在、創世記の一節を綴るにふさわしい書体として選びました。


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 《喪の都邑(みやこ)》は、欽定訳聖書(KJV・1611)の「エレミヤの哀歌」の一節「For these things I weepe, mine eye, mine eye runneth downe with water,」(文語訳:これがために我なげく わが目やわが目には水ながる)が綴られています。聖都エルサレムを喪ってしまった悔悛と深い悲しみで頬を涙がつたう嘆きの場面。

 書体「短夜(制作年:2004年)」は、夜が早く明け、物の隙間から朝の光が差し込む様子を象った書体。短夜のように、喪の夜が早く明けますようにとの願いを込めて。胸元にブローチのように冒頭の単語「For」が綴られています。
 書体「サフラン・クロッカス(制作年:1993年)」はサフランの花びらと長い雌しべを象った書体。旧約聖書「イザヤ書」の、聖都エルサレムの栄光の回復が約束されている箇所「荒野とうるほひなき地とはたのしみ 砂漠はよろこびて番紅(さふらん)の花のごとくに咲き輝やかん」にちなみ、サフランに喪が明ける願いを託して。


 ……と、全作品、このような過程を経て制作されています。


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シルクスクリーン作品《沈黙の聖女》
「詩編」の一節「わがたましひは默してたゞ神をまつ」が書体[短夜][向日葵]で綴られています



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《小袖雛形聖書》シリーズ4点のうちの1点
「伝道の書(コヘレトの言葉)」の一節「裂くに時あり」が書体[天球儀]で組まれています



 以上は聖書の言葉を写し、衣服として纏うことを試みた平面作品の一部。

 ・

 コラージュの手法を応用した写真作品も展示中です。

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上:《すみれとすみれのあいだ》デジタル写真/銀塩プリント
下:《夢のゆきかう薄明》デジタル写真/銀塩プリント


 リトグラフ作品《Ash Wednesday》の手袋の切り抜きを立体コラージュの感覚で配置、写真で一発取りをしています(パソコン合成はしていません)。エリオットの詩《Ash Wednesday》のイメージを重ね、そのポエジーを表現すべく制作しました。タイトルはエリオットの詩からの引用です。



 平面作品は一節を綴っていますが、限定版書物では、欽定訳聖書の「The Song of Solomon(雅歌)」と「The Lamentations of Ieremiah(エレミヤの哀歌)」それぞれの全文をオリジナル書体で綴りました。中世の修道士たちが一文字一文字手書きで聖書の言葉を写したように、現代に生きる私どもは現代的な手法たるデジタルフォントで聖書を写しました。


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タッセルの栞付き書見台の上の限定版書物《QUIRE》シリーズ


 「QUIRE」とは折帖のこと。折帖がいくつか製本されてコデックス(冊子・書物)となります。その昔、修道士たちはQUIREごとに写字に勤しんだそう。今回展示するのは二つの「QUIRE」。一生かけて聖書の「QUIRE」を制作し続け、いつかコデックスとして完成させたいです♪


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《QUIRE〜The Song of Solomon》限定20部
クワィア1帖(糸縢り手製本)、リトグラフ1点、原文、書体見本
シルクリボン綴じ・特装函入り
ファブリアーノ・ロサスピーナ紙、ハーネミューレ紙、雁皮紙使用



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《QUIRE〜The Lamentations of Ieremiah》限定20部
クワィア1帖(糸縢り手製本)、リトグラフ1点、原文、書体見本
シルクリボン綴じ・特装函入り
ファブリアーノ・ロサスピーナ紙、ハーネミューレ紙、雁皮紙使用



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版画作品の刻印とサイン



 版画、写真、書物作品(全て新作20点)の他、プライベート出版物や長く装丁を担当してきた『現代思想』(青土社刊)なども展示中です。


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邦楽家・西松布咏氏のための舞台衣装(2004年)
書体[短夜]にて江戸時代の小唄「一声は」の詞章が組まれています
コンサート当日、「一声は」の詞章を纏いつつ「一声は」をご演奏されました




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 本日16日最終日、菫色に色づく写字室にて、皆様のご来廊を厳かにお待ちしております!


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DATE: 2013/02/12(火)   CATEGORY: SCRIPTORIUM
HOLON タイポグラフィ作品展
ミストレス・ノールの本業(グラフィックデザイナー)の展覧会のご案内です

★★★終了しました★★★

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HOLON タイポグラフィ作品展
スクリプトリウム
〜聖書の言葉を写し、纏う試み〜

2013.2.11[月・祝]〜16 [土]
13:00〜20:00
森岡書店
(日本橋茅場町)



「SCRIPTORIUM」とは修道院の写字室のこと
長きに渡り、修道士たちの手により
聖書の言葉は壮麗に写され、遺されてきました
私達は、アルファベット書体デザインを現代の写字法ととらえ、
文字によって多彩な情景を表現できるよう、
装飾を重視した書体制作を行ってきました
本展示では、文語訳聖書と欽定訳聖書(KJV・1611年)を題材に、
聖書の言葉を写し、衣服として纏う試みを定着させた
タイポグラフィ作品(平面・書物)を発表します

HOLON設立16周年を記念し、設立当初より
表紙デザインを担当してきた『現代思想 臨時増刊号』(青土社)、
プライベート出版物なども展示販売します




デザイン工房[HOLON]
1997年設立。ブックデザインを中心に、グラフィックデザイン全般に従事
1999年よりプライベート・プレス[Club Noohl]を運営、
限定版アートブックの刊行やオリジナル紙製品等も制作している




DMは修道院の廻廊をイメージして制作しました

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並べるとタイポグラフィの廻廊になります♪

アーチの内部に配置した模様のような図案が
オリジナルデザインのアルファベット書体です
左上から順に「ABC…」と並んでいます

これらの書体で聖書の言葉を綴った平面作品と書物の展示になります

皆様のお越しをお待ちしております




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DATE: 2013/02/02(土)   CATEGORY: SCRIPTORIUM
写字室より
 HOLON タイポグラフィ作品展《SCRIPTORIUM〜聖書の言葉を写し、纏う試み〜》会期も近づき、もっか鋭意写字中です。

 ★森岡書店さんのHPに掲載中の展覧会情報
 →SCRIPTORIUM

 シルクスクリーン、リトグラフ、写真作品、限定版書物、書体見本、約20点(全て新作)の展示になります。作品以外に、HOLON設立当初から表紙・目次・扉デザインを手がけてきた『現代思想 臨時増刊号』(青土社)やプライベート出版物、邦楽家・西松布咏氏のために制作した舞台衣装(着物と帯/オリジナルアルファベット書体で綴った詞章を染めたもの)なども展示予定です。

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 作品画像(部分)を少し…

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リトグラフ作品《Ash Wednesday》(部分)
薄墨色のキャンソン・エディション紙に菫色と濃灰色の二色刷り


 作品《Ash Wednesday》は書体「Cemetery Gates」で「創世記」(文語訳)の言葉を写しました。(会期中の2月13日が今年のAsh Wednesday/灰の水曜日です)
 制作している書体は全てアルファベット書体、日本語の文はローマ字組みをしています。書体「Cemetery Gates」はその名の通り、欧羅巴の墓地のアイアン細工の門をイメージして制作しました。墓地の門はまさに生と死の狭間に位置する存在……Ash Wednesday(灰の水曜日)も生と死に思いをはせる季節の始まり…「あなたは塵から生まれたのだから、塵に返ることを覚えなさい」に想いを馳せつつ・・・


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リトグラフ作品《St Matthew Passion》(部分)
薄墨色のキャンソン・エディション紙に濃灰色の一色刷り


 作品《St Matthew Passion》は、この世で最も好きな楽曲《マタイ受難曲》へのオマージュ。書体《薔薇窓》で「マタイ傳福音書」(文語訳)の一節を写しました。ゴシック建築の教会を彩る薔薇窓、そこから差し込む美しい光にイエス様の嘆きを重ねて……


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リトグラフ作品《園の中に住む者》(部分)
薄い琥珀色のファブリアーノ・ロサスピーナ紙に濃灰色と紫紅色の二色刷り


 作品《園の中に住む者》は、書体「Scarlet Martagon」にて「雅歌(The Song of Solomon)」の一節を写しました。欽定訳聖書(KJV・1611年)からの引用です。雅歌に登場する百合はパレスチナに多く咲くスカーレット・マルタゴンという説が最も有力とのこと(『聖書の花』阿部薫著・八坂書房より)。書体「Scarlet Martagon」はくだんの百合をモチーフに制作しました。


 版画作品は版画工房との共同作業です。プロフェッショナルなお仕事ぶり、殊に色彩に対する精緻な感性が素晴らしく、こちらが指定した微妙な色味を完璧に表現して下さいました。


 シルクスクリーンでは和風モダンな作品も制作しました。

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シルクスクリーン作品(部分)
《傳道之書(コヘレトの言葉)》の一節を書体「Cemetery Gates」で♪




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写真作品《Footfalls Echo in the Memory》(部分)

 コラージュの手法を応用した写真作品シリーズ(パソコン合成は行っておりません)。今回題材に選んだ聖書の言葉にT.S.エリオットの詩「四つの四重奏曲」「聖灰水曜日」、R.M.リルケ「マリアの生涯」のイメージを重ね、作品化しました。

 足音は記憶の中に反響する
 開けたことのない薔薇園への出口のある
 通ったことのない廊下に
 反響する。私の言葉は反響する
 そんな風に、あなたの心にも。

        .....「四つの四重奏曲〜バーント・ノートン」(西脇順三郎訳)より



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 限定20部の書物作品は、オリジナル書体で装飾された「The Song of Solomon(雅歌)」と「The Lamentations of Jeremiah(エレミヤの哀歌)」の2種(欽定訳聖書(KJV・1611年)より引用)。欽定訳聖書のサイズを反映した大判の書物になります。特装函入り、リトグラフ作品1点付き。


 
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 ……と、日々鋭意制作中の此処写字室に、セラフィムの中元さまよりなんとも粋な贈り物が届きました!

 フランチェスコ修道会伝統のレシピによるハーブティ(清廉なるお味!)、聖シルヴェストロ修道院の蜂蜜(やさしいお味をそのまま頂きました)、そして、ソーテルヌの貴腐ワインにつけ込んだレーズンをショコラで包んだ小さな宝石のようなデザート……まさにスクリプトリウム・セット!

 武蔵野修道院・写字室の士気がいっきに上がりました♪


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夜半、制作の喧噪を忘れ、束の間優雅なひとときを堪能♪

 聖トーマス教会の《マタイ受難曲》を聴きながら、静寂のひとしずくをゆっくりと味わいました。

  悔い改めの念が
  罪の心を千々にさいなむ、
   この涙の滴が
   好ましい香水となって
   イエスよ、あなたに注がれますように

         .....《マタイ受難曲》ピカンダー詩、アルトのアリアより




聖トーマス教会《マタイ受難曲》/アルト:シュテファン・カーレ



 中元さま、素晴らしきお心遣いを本当にありがとうございました!


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 HOLON タイポグラフィ作品展《SCRIPTORIUM》、まもなく扉が開きます。

 皆様のお越しを心よりお待ちしております♪
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DATE: 2013/01/11(金)   CATEGORY: 随想録
カイリー・ミノーグ
Pet Shop Boysも、HURTSも、カイリー・ミノーグと♪



Pet Shop Boys & Kylie Minogue《In Denial》/『Nightlife』(1999)より
ゲイの父親が娘と語り合う、という歌





HURTS & Kylie Minogue《Devotion》/『Happiness』(2010)より



HURTSはカイリー・ミノーグの《Confide In Me》をカバーしています





Kylie Minogue《Confide In Me》

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DATE: 2013/01/09(水)   CATEGORY: 随想録
ブベニチェク〜パ・ド・トロワのため息
ツイッターでas dollさまがつぶやいていたのを拝見し、これは行かねば!と徹夜明けに都内をめぐるハードスケジュールの後でしたがルカ氏とともにBunkamuraへ。


ブベニチェク・ニューイヤーガラ《カノン》
2013年1月7日(月)19:00
Bunkamuraオーチャードホール


以下、言いたい放題のメモ。


★《トッカータ》イローナに捧げる
ニューヨーク・シティ・バレエのために振付した作品。まさにこのバレエ団にふさわしい抽象バレエ……と一言では済ませられないパがそこに。クラシック・バレエから大きく逸脱しない誠実なる振付、しかし、そのパのひとつひとつは現代という時を求めて、ほんの少し、歩みを進めていた……この、ほんの僅かな一歩に、どれほどの壮絶が存在するだろう……その小さき亀裂を思い、胸を打たれた。
バレエは基本、人間主体の振付だし、この作品も空間に人間が切り込んでゆく方向性には違いないけれども、時に植物が風に揺れているような振付とも相まって、空間の質、そこに漂う空気の質感が感じられる刹那が多々あった。空気が主役というか…。それ故に、お衣装がちょっと不満足。無名性の高い衣服は素っ気ない方向性に傾いていた。ほんの少し空気を含んだお衣装だったらもっと感動が大きかったと思う。また、音楽に関しては、全編フィリップ・グラスorウィム・メルテン風で踏襲した方がもっと世界観が鋭利になったと思う。

それにしても、これ程、パ・ド・トロワを多用し、魅惑的に描いてみせる振付家は希有ではないだろうか。


★《ドリアン・グレイの肖像》オットー・ベルティスに捧げる
英国文学好きにはたまらないセレクション。しかし、結論としては、ちょっと構成が散漫でした。

双子の兄弟ゆえに実現できた作品、オットー氏がドリアン・グレイを演じ、イリ氏が画家バジル、ドリアンを悪に導くヘンリー・ウォットン卿、そして絵画の中のドリアンを演じわける大変興味深い設定。双子によるドリアンのパ・ド・ドゥはドリアンの変貌と本質を描ききっていて見事でしたが、それ以上に、シヴィル・ヴェインが介入してくるパ・ド・トロワが素晴らしかった! 

この、パ・ド・トロワへのこだわりは何だろう…! 双子というパ・ド・ドゥの狭間には、常に二人を写し出す鏡の存在=第三の舞踊手の存在が必要なのかもしれない……同調し、少しずれ、大きくずれ、ついには途方もない遠さの果ての一心同体……その円環する存在性をつぶさに記録する鏡が…。そんな宿命に彩られた文学性が垣間みられる振付は素晴らしかったけれども、ここでも音楽がいまひとつ。ちょっとメロドラマすぎ。確信犯的にメロドラマにしているわけではないのでこれではちょっと陳腐に見えてしまう。
全体の構成がすっきりとしていないせいで、見所が散逸している印象。プティの《若者と死》のようにタイトな仕上がりにするか、アシュトンの《田園の出来事》のように一幕物としてしっかり仕立てるか、どちらかに振った方が良いような…。完璧な仕上がりではありませんでした。
文学作品をバレエ化するという点では、アシュトン、マクミラン、ジョン・クランコ、ノイマイヤーの完成度には至っていないと思いました。

香水でいえばムスクたっぷりの舞台、ベジャールに代表される濃厚な野性味あるゲイテイストは嫌いではないけれども、やっぱりドリアン・グレイには英国香水のごときノーブル&清廉テイストを望みます。


現代に設定を移したマシュー・ボーンの《DORIAN GRAY》
確信犯的に全てを取りはからう手腕をまた堪能したい…。
→Matthew Bourne's DORIAN GRAY (Official promo montage)
プリズン・ブレイク(ウェントワース・ミラー)なドリアンですね……


★牧神
バレエ・リュス、ニジンスキーの代表作《牧神の午後》を大胆に翻案した作品。
こ、これは・・・とてつもなく衝撃的な作品です! これを鑑賞できただけでも今回のガラ公演に行った価値あり。「一度の鑑賞じゃ足りない…。」(ルカ氏談)

聖職者と少年との同性愛を描いた作品、加えて振付じたいもその勇気を賞賛せねばならぬ程に直接的。しかし、真に衝撃的なのは、一般的にはタブーとされるモチーフを扱ったそれらの点ではなく、神をも恐れぬ人間のその行為が、神々しいまでの美を孕んでしまっているという点……おお、神よ、祈らずにはいられません……。
セクシャルな題材なので一見「性的欲求」に焦点を当てているように思えますが、性的欲求などという人間界の瑣末な次元を突き抜けた、人知の及ばぬ美の世界の出来事を扱った作品だと思う。その、未知なる抽象を表現するために、この題材が必要だったのだと思う。
こ、これは、見ても良い世界なのだろうか……そんな不安が去来する程の極限の美でした。

構成、音楽、振付、舞台装置、衣装、全てが完璧に調和した作品でした。音楽はプーランク作曲の少年合唱曲で始まりドビュッシー《牧神の午後への前奏曲》へ。美をめぐる戦慄にこれほど相応なる倦怠の旋律が存在するだろうか…! 安藤忠雄の光の教会のように、四つのパネルで隙間を作ることで光による十字架を現出させ、そのパネルの移動で細い十字架がしだいに太くなっていく演出も神の視線の象徴のようで本当に素晴らしかった。
聖職者が赤/紫の衣服を着用しているのは、ゴルゴタの丘の十字架の道行きの直前、兵士たちから侮辱を受けた際に着せられた服の色に由来しており(福音書によって記述は異なり、マタイでは赤、マルコ・ヨハネでは紫。赤=殉教、紫=改悛の色)、その出来事と常に共に在り続ける表明とも言えるので、聖職者役の舞踊手が最初着用していた赤い外套を途中で脱ぐのも興味深い演出。彼は果たして、何を脱ぎ捨てたのだろうか……。
また冒頭、主教座を思わせる椅子に聖職者が座っていたのがラストでは牧神がその椅子に座って幕となる。教会にとって主教座は権威と教えの象徴、そこが牧神に乗っ取られている点も面白かった。

キャスティングによって完成度が大きく変化する作品だと思う。今回の公演で何が素晴らしいって、聖職者役のラファエル・クム=マルケ氏! マチュー君がヴァンサン・カッセルになってさらに凄みを増したような……とにかく、罪深い程に美しかった! 黒衣の衣装も胸元と腰部分がシースルーになっていたり♪ 牧神の配役も良かったけれど、少年役のダンサーが葉桜以後だったのが少し残念。できれば金髪碧眼のいかにもな少年希望。
聖職者、少年たちのうちに潜む牧神をかいま見せるように、ニジンスキーの振付が時折覗くのも素敵。ニンフの静的なコール・ドもそのまま踏襲されていて、翻案作品としても最高傑作だと思う。

そしてここでもパ・ド・トロワである。聖職者、少年、牧神の神々しいまでに罪深いパ・ド・トロワは人間側の偽善的な言い分を全て拒絶する程の美のパワーを保持していた…。。。圧巻。

とにもかくにも、バッド・エデュケーション(by ペドロ・アルモドバル)な素晴らしい作品でした!


★《プレリュードとフーガ》
アシュトン風の正統で美しき作品。ドロテ・ジルベールさんの清楚をあますところなく伝える振付。バレエ基本の公演であれば、トウシューズをきちんと身につけた作品を一作は拝見したいので大満足。それにしても、作風の幅が広い。


★《ル・スフル・ドゥ・レスプリ〜魂のため息〜》オルガとマリーに捧げる
美しき題名がそのまま舞台に降りた作品。
普遍性を備えたもはや古典とも呼べる傑作でした! 個人的な好みは《牧神》だけれども、ブベニチェク兄弟の真骨頂はこの作品にこそあるのだと思う。クラシック・バレエをコンテンポラリーへと繋ぐ手腕は天才の領域。自然物をみているような清々しさが本当に気持ちよい。
ここでも多用される男性のパ・ド・トロワとコール・ドがとくに素晴らしい。
手放しで賞賛したい作品です。

ひとつ個人的に大変気になったのが、お客様方の拍手のタイミングがとっても早いということ……拍手は無常にも私たちを束の間の夢から現実へと引き戻す(劇中の賞賛の拍手は別)。もっともっと、たとえ数秒であっても、夢の余韻を楽しみたい…。幕が降りる前に拍手をするのはやめよう。

《牧神》のような衝撃作、《プレリュードとフーガ》のような正統派作品、そして普遍性を備えた本作……恐るべしブベニチェク兄弟!


(ご本人の持ち味が)濃厚なゲイテイストという点では、パトリック・ド・バナ氏も同じ系譜にいるけれども、ド・バナ氏の方が洗練の方向性、ブベニチェク兄弟はあくまでも野性やヴァナキュラーに忠実。コンテンポラリー作品の振付に焦点を当てると、当代の一番の衝撃は今のところラッセル・マリファント氏。二人組という点では、ロイヤル・バレエ団出身、バレエ界のPet Shop BoysことBallet Boyzの方が断然好みです。


★The Ballet Boyz《Torsion》
振付:Russell Maliphant/音楽:Richard English




こちらの音楽はバリー・アダムソンです!
★Sylvie Guillem and The Ballet Boyz《Broken Fall》
振付:Russell Maliphant/音楽:Barry Adamson






★Sylvie Guillem and Russell Maliphant《PUSH》/振付:Russell Maliphant




シルヴィ・ギエム女史とバレエ・ボーイズの公演は2004年に拝見。これ以上研ぎすまされた世界は存在しない…と思える程、美しく精緻な舞台でした。2007年に拝見したギエム女史とマリファント氏の《PUSH》は一舞台を遥かに超えた歴史的事件でした。
静寂の詩人と呼びたいラッセル・マリファント氏。深い精神性を持って静寂の中に奇跡のひとしずくを落とす世界をまた堪能したいです。(思い返せば益々、《エオンナガタ》が謎。同じ人物の作品とは到底思えない程に…。)



年末のHURTSに続き、またもや素晴らしき美に打たれたひとときでございました♪

教えて下さったas dollさまに心より感謝申し上げます!





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DATE: 2013/01/05(土)   CATEGORY: 随想録
サスキア・デ・ブロウ
サン・ローランも、シャネルも、サスキア・デ・ブロウ

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サン・ローラン(メンズ)SS 2013

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シャネル Cruise 2013

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DATE: 2012/12/30(日)   CATEGORY: 随想録
HURTS
 年の瀬をむかえ、今年相見えることのできた孤高の美を、魔女の一撃でむなしく聖夜を迎えた寝台の上でひとつひとつ思い出しておりました。



 なんといっても今年の一番は長い時間をかけて十四人で紡いだ《英国文学十四行詩集》の開催。敬愛する作家さま方との束の間の夢の小部屋は一生忘れ得ない、儚い故に麗しき記憶…

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 五月に開催した個展《バレエ詩集〜半喪のパ・ド・ドゥ》は、モーニング・オブジェ・コレクションとして、追憶をテーマにした作品をまとめて発表した初めての個展でした。

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 二月の大斎節に体験した聖トーマス教会の《マタイ受難曲》全曲公演、これはもはや音楽鑑賞ではなく宗教体験の域でした。男声のみの合唱、危ういまでに繊細なカウンターテナー、シュテファン・カーレ君の瑞々しい歌声にひとりさめざめと涙しました。

 孤高のバレリーナ、ロパートキナさんの公演を二度拝見できたのも希有なる体験。選ばれし者ゆえ、たったひとりきりで暗闇に超然と立ち続ける矜持に、本当に胸打たれました。

 嵐の夜に拝聴したアレクサンドル・ダローさんのピアノ、そしてサイン会にて至近距離で拝見したタローさん……神々しいまでの美に打たれ、もはや気絶寸前でした。。。

 人生の友、ペット・ショップ・ボーイズの新作《ELYSIUM》にも最高に感動。《Behaviour》と並ぶ最高傑作です。

 英国BBC制作の《シャーロック》にも夢中になりました。英国の英知と美意識が最高のかたちで結実した名作中の名作です。

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 エディ・スリマンの「サン・ローラン」のプレタポルテコレクション、ラフ・シモンズの「クリスチャン・ ディオール」オートクチュール&プレタポルテコレクションを拝見できたことも神様に感謝級の出来事。ふたりのFourth sexな美意識がどのように花開くのか……予想を遥かに超えた敬虔なる美に恍惚となり号泣しました。「仏蘭西の歴史には二本の偉大な蝋燭があり、一本がルソン・ド・テネブレの蝋燭、もう一本がジョルジュ・ラ・トゥールの絵の蝋燭」とパスカル・キニャールは言っていますが、それに倣い、現代の仏蘭西の地には、エディ・スリマンとラフ・シモンズ(ベルギー人ですが)という、二本の厳粛なる蝋燭が存在し、美への道筋を清廉に照らし続けている、と言いたいです。

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サン・ローラン

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クリスチャン・ディオール



 そして、日頃から親しくさせて頂いている敬愛する方々の純真で美しいおこころに今年も触れることができたこと・・・わたくしも皆様にふさわしい人間でありたい、と改めて願った一年でした。







 と、ひとり悦に入り、この一年を総括&追憶していたところに突然、神様からの最大級の美の贈り物……というより、美の爆弾ともいうべきシロモノが飛来したのです・・・

 英国人、美青年、二人組、80s英国ニューウェイヴ音楽、クラシックなスーツスタイル・・・この、私にとって超ド級な直球要素が全て揃い、つまりは音楽的にはデペッシュ・モードがペット・ショップ・ボーイズになってマーク・アーモンドがまぶされ、存在性としてはホームズ&ワトソンがギルバート&ジョージとペット・ショップ・ボーイズを経由してエディ・スリマンの写真の中に閉じ込められたような二人組をこの年の瀬に発見してしまったのです!

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元祖・英国人二人組ホームズ&ワトソン



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愛らしきギルバート&ジョージ



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愛しきニール&クリス

を経由して

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エディ・スリマンの写真
(ポール・シムノンの息子たち/2009年プラダ・メンズ・コレクション広告)


に閉じ込められたような彼らは

★★★英国人デュオ《HURTS》★★★

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HURTSの二人♪ セオ・ハッチクラフト君(左)とアダム・アンダーソン君

……う、美しい!!!

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美しい上に、80s的直球音楽を歌っちゃう!

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2009年にデビューしていた彼ら

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どうして誰も、私にこの福音を知らせてくれなかったのだろう!

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日本にも来日してた!(号泣)

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[HURTS]のタイポグラフィも美しい
ファーストアルバムのジャケットはまるで
ペット・ショップ・ボーイズ

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よりちょっぴり美しい僕ら

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80s英国音楽が好きな人間にはストレートど真ん中!



HURTS《Wonderful Life》
横で踊っているお姉さんがちょっと面白いが、、、



HURTS《Illuminated》
スタイリッシュでクールだけど、マンチェスター出身♪


映画《夏の嵐》や《嘆きの天使》の男装も彷彿とさせるPVも素敵!

HURTS《Better Than Love》
そして、シンセなポップです♪


時折激しく動きまわっても素敵な彼ら&クリスよりも働いているアダム君

HURTS《Evelyn》


 ファーストアルバム《HAPPINESS》の完成度がとてつもなく高い彼ら……まさか、自分の人生で、デペッシュ・モードとペット・ショップ・ボーイズとマーク・アーモンドの玉座、つまりは本物の80s音楽の領域を揺るがす存在が現れるとは想像だにしませんでした。

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 というわけで、狂ったようにHURTSに夢中な年の瀬の総括でした♪

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